小学校ローマ字は訓令式で教えるのはなぜ?ヘボン式との違いと教え方のコツ

国語

小学校ローマ字は,訓令式で3年生から学習します。

街中の看板や標識などを見ると,英語混じりのローマ字が溢れています。

中学校からは,ヘボン式のローマ字を使うことが多くなります。

では,なぜ小学校ローマ字は訓令式で教えるのでしょうか。

3年生からは外国語活動もはじまった今,ヘボン式との違いについても考えてみます。

小学校ローマ字は訓令式で教えるのはなぜ?:ヘボン式との違い

小学校では,ローマ字を国語の時間に,訓令式で教えます。

片や,ヘボン式は,中学校の英語の時間に重点的に取り上げるようです。

中学校でヘボン式にするのなら,小学校も最初からヘボン式で教えればいいのに,と思いませんか?

それでも,小学校では訓令式でローマ字を教えるのは,訳がありそうです。

ここでは,日本でのローマ字の成り立ちからひも解いてみます。

日本でのローマ字のはじまり

実は,ローマ字は,はじめは,日本に来た外国人がつくりました。

日本語の読み方を,ABCを使って表そうとしたのです。

キリスト教の布教が目的でしたが,この便利さに気づいた日本人の間にも広まっていったと言われています。

宣教師のヘボンがつくったということで,ヘボン式と呼ばれるようになりました。

訓令式が必要とされたわけ

日本の知識人は,ローマ字を取り入れようとしたところ,ヘボン式は,日本語を書くのに適していないことが分かりました。

そこで,日本式のローマ字をつくることになったというわけです。

これが,訓令として定められたことから,訓令式と呼ばれるようになったようです。

訓令式とヘボン式の違い

まとめますと,

  • 訓令式は,日本人が日本語を書くためにつくった書き方
  • ヘボン式は,英語を話す外国人が日本語を読むためにつくった英語風の書き方

と言えるようです。

 

ローマ字表を見ますと,ほとんど同じなのですが,サ行,タ行,ザ行,ダ行の一部が違います。

じゃあ,どちらでもいいではないか,と言いたいところですが,

ローマ字の主な目的は,

  • 日本語の音声を外国人にも分かるようにすること(世界に通用するように)
  • 能率的な文字を使って,日本の産業や文化を発展させる
  • 日本語能力が向上する

です。

このような目的を受けて,日本語の一つとしてローマ字が必要となったのです。

そして,紆余曲折を経て(ここでは,詳しい経緯は省略します)

現在,国語の学習の内容となっています。

さらに,日本語の発音により近いということで,訓令式を採用しているようです。

小学校ローマ字は訓令式で教えるのはなぜ?:教え方のポイント

小学校で,訓令式ローマ字を教える価値は,いくらか分かったものの,じゃあ,どうやって教えるかです。

3年生は,国語でローマ字,外国語活動でアルファベットの学習が同時期にはじまります。

控えめに言っても,多少の混乱が起こるのは予想されます。

はじめは,別々に習っていても,入り混じるでしょうから,ポイントを絞って指導することを考えてみましょう。

3.4年生のローマ字の指導のポイント

日本人として,ローマ字の読み書きを身につけることを望みたいところですが,指導時数は,3年生でわずか4時間です。

はっきり言って,ローマ字を使って文を自在に読み書きするのは難しい状況と言えます。

では,ローマ字は後回しにするか‥‥‥

という考えもよぎりますが,総合学習などでパソコンを使った学習が入ってきます。

はじめのうちは,マウス操作に慣れることが中心ですが,次第にキーボードで文字入力の場面も増えてきます。

色々考えますと,この時期は,ローマ字を読むことを中心に進めてはいかがでしょうか。

訓令式のローマ字表を見て,

  • 大文字の「A.I.U.E.O」を「ア,イ,ウ,エ,オ」と読む
  • カ行は「K」,サ行は「S」,タ行は「T」‥‥といった仕組みに気づく
  • 濁音「GA,GI,GU,GE,GO」「ZA,ZI,ZU,ZE,ZO」‥‥を読む
  • 半濁音「PA,PI,PU,PE,PO」を読む
  • 拗音「KYA,KYU,KYO」「SYA,SYU,SYO」‥‥を読む

読むだけでは,退屈ですから,アニメやゲームのキャラクターの名前カードづくりなど,表を見ながら書いてみることをおすすめします。

書くことは,最低,自分の名前が書けることを目指してください。

自分の名前は,ローマ字表を見なくても書けるようになっておくといいですね。

まずは,大文字のローマ字に慣れるようにしてあげてください。

5.6年生のローマ字の指導のポイント

5年生,6年生の2年間で,ローマ字の大文字はもちろん,小文字も読み書きできることがベストです。

少なくとも,ローマ字表を見て,素早く文字を探して読んだり書いたりできることが,後々役に立ちます。

そして,ローマ字表は,ヘボン式も一緒に書かれているものにしてあげましょう。

5年生から,英語の時間には書く活動が入ってきますので,混乱するかもしれないので,ローマ字表は,近くにあるといいかもしれません。

自分の名前は,語頭は大文字で書いて,あとは小文字で書くことが望ましいです。

例:田中ゆきこ(タナカユキコ)→Tanaka Yukiko

小学校ローマ字は訓令式で教えるのはなぜ?:まとめ

いかがでしょうか。

小学校でローマ字は訓令式で教えるのは

  • 日本の地名や名前など,日本語の音声を外国人にも分かるようにすること
  • 能率的な文字を使って,日本の産業や文化を発展させるため
  • 日本語能力が向上するため

です。

教え方としては,訓令式の読み書きに慣れることが第一ですが,

中学校英語でヘボン式を使うことを考えると,小学校高学年からは,ヘボン式も書いてあるローマ字表へ移行することをおすすめします。

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