長い休みになると,学校の宿題に必ずと言っていいほど出るのは,読書感想文です。
ワーフブックやプリント,工作などは終わっているのに,案外,最後になるのが読書感想文だった,というのはよくある話です。
かくいう私も最後まで着手すらしないで,ひたすら見ないようにしていた記憶があります。
小学校の教員をしていた頃,粗筋だけをひたすら羅列しているものをわりと見ました。
中には,妙に大人っぽい言葉遣いの文章や,明らかに大人の筆跡と思われるものもチラホラありました。
親子で悩んでいらしたんだなぁと読ませてもらうのも切なかったです。
せっかく書こう,書かなくては,という気になっているなら,手順よく進めていく方法をご紹介します。
せめて少しでも,ストレスを減らして子どもの言葉で感想文を書きあげてみませんか。
読書感想文の書き方のポイント:書く前の準備
読書感想文を書くことは,どの本を選ぶか,準備のときからはじまります。
本の選び方や下書きで配慮してあげることなど,具体的に挙げていますので参考にしてみてください。
読書感想文を書く準備:本を選ぶ
「えっ!?」と思われたかもしれません。
でも,これ大事なんです。
日頃から,本が好きでよく読んでいる子どもは,面白かった本がたくさんあり過ぎて,自分で選んでごらんと言われると,返って悩んでしまうことがよくあります。
もちろん,本をあまり読まない子は,一緒に選んであげましょう。
学校からのお便りで,この中から選ぶといいですよ,といった選定図書一覧なるものをもらってくるかもしれません。
また,時期になると,本屋さんや図書館には,低学年,中学年,高学年向けの本を展示しているのを見かけます。
本を選ぶときのコツ
- 量が多すぎないこと
- 本の題名が面白いもの
- 表紙の絵や挿し絵がきれいなもの
- 話の盛り上がりがはっきりしていること
- ハッピーエンドで終わるもの
などに配慮してあげると,書く作業にスムーズに入れると思います。
本が多すぎるとき
自分が持っている本の中からでもいいのです。
そのとき,「どれでもいいよ」という声かけよりも,「これかこれがいいんじゃない」と絞ってあげた方が,書くことにつながると思います。
読書感想文の書き方のポイント:下書き→清書
本を読みました,では書きましょう,といきなり原稿用紙に書いていくのは,ものすごく大変です。
マス目がぎっしり並んだ広い原稿用紙を見ただけで,大体の子どもは,ため息を漏らします。
ましてや,書くのが苦手な子どもにとってはなおさらです。
項目ごとに書いて下書きをつくる
子どもがモヤモヤしないで,大人がイライラしないで感想文の下書きを作る手順を説明します。
まず,短冊を用意してください。。
原稿用紙の2行分ほど(1行が20文字程度)。
私は,原稿用紙をコピーして,2行ずつ切って渡しています。
短冊は,マス目の原稿用紙じゃなくて,行の方が伸び伸びと書けるという方もいらっしゃいます。
書くのが元々苦手な子には,この段階から原稿用紙に近いものを渡すことをお勧めします。
この段階から,1マスに1文字,句読点やかぎかっこなどの書き方に慣れて,抵抗感を薄めておく方がいいのではと思います。
書く項目は,
- この本を選んだわけ
- 簡単なあらすじ
- 心に残ったところ
- 自分だったらどうするか
の4点です。
「このことについて書いていこうね」と,項目だけ知らせて,大まかに見通しをもたせると,子どもの不安は少し減るようです。
1枚の短冊には,1文ずつ書きます。
1つの項目に1つで十分ですが,もし,他にも言葉が出てきたら,別の短冊に書くと,後で整理がしやすいです。
短冊を渡したら,1つずつ問いかけてあげてください。
①「どうして,この本を選んだの?」
これは,先に述べた本を選んだ時の観点が使えます。
「本の題名が不思議だったから」
「表紙の絵がかっこよかったから」などです。
②簡単なあらすじ
・いつ,どこで
・だれが,何をした
について,短く書きます。
③心に残ったところ
・面白かったところ
・悲しかったところ など
自分が心に残ったことを断片的でいいので,話し言葉にしてから文字にすると,書き言葉につながりやすいと思います。
④自分だったらどうするか
心に残った場面に沿って,「自分だったらどうする?やってみたい?」とか,「これから,どうなると思う?」など,問いかけてみてください。
ここは,出てこなければ無理に書く必要はありません。
書き慣れていくうちに増えていくと思います。
言葉が出てこないときは,
大人「このお話を読んでおもしろかった?それとも楽しかった?」
こども「うん,おもしろかった」
大人「じゃあ,そう書いてごらん」 と,まとめの言葉をつくってあげてもいいと思います。
文を整えて清書する
下書きで項目ごとに作った短冊を,一枚の台紙に並べてはります。
⇩
右から順番に,ギッチギチじゃなく,すき間を空けてはります。
⇩
全部はったら,誤字脱字がないかチェックします。
もし,あったら,右側に書いてあげてください。知っている漢字もここで修正します。
⇩
題名を考えて,右端に書きます。何でもいいです。
例えば,「〇〇を読んで」でいいと思います。
書くスペースが無ければ,紙を足してください。
実は,ここまでが下書きになります。この下書きを見ながら清書していきます。
一行目は,題名。3,4マスほど空けて書きます。
二行目は,自分の名前。下に書きます。
三行目から本文です。書き始めは,1マス空けて書いていきます。
まとめ
お話を読むことは楽しくても,そのワクワクを読書感想文にするのは,億劫なものです。
書くことが苦手な子どもにとって,項目ごとに短冊に書いていくやり方は,その抵抗感を少しでも減らすのに役立てると願っています。
書き慣れないうちは,下書きを作るだけで時間がかかってしまうかもしれません。
でも,2回目,3回目となるうちに,要領をとらえて書いていけるようになっていきます。
焦らず,急かさず,押しつけにならないように。稚拙な文でも書いたことを認めてあげてください。
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